プロポリス軟膏の使用上には注意点がいくつもある
無添加やオーガニックのものが、食品や化粧品などさまざまなもので増えています。添加物が入ることで安心が損なわれるわけではありませんが、より安心できるということで「無添加」に人気が出ています。そして、切り傷や火傷などの外傷にもできるだけ薬ではなく、天然の素材が使われたものを使いたいと考えている方がいらっしゃいます。そんな方に使われているのがプロポリスエキスを使った軟膏です。ミツバチが作る天然物質ですが、消毒と炎症止め、痛み止めなどの効果があります。天然成分ですので安心ですが、使い方を誤るとアレルギー症状を引き起こす場合があります。この記事では安心して使うための注意点を説明します。
プロポリス軟膏とは
プロポリスは外傷に有効
プロポリスは抗菌殺菌作用・抗炎症作用・鎮痛作用・細胞賦活作用などを併せ持った物質で、軟膏として用いることで切り傷や火傷、感染症、虫刺されなど、さまざまな症状に対して利用することができます。もともとプロポリスは、ミツバチが巣を細菌やウイルスから守るために作り出している物質ですので、殺菌力が強いことが特徴です。プロポリスの原液を患部に拭きかけることで、消毒をして炎症を抑えることで治療を早めることができました。軟膏にすることでプロポリスを長時間患部に留めることができるようになるので、よりプロポリスの効果を高めることができるのです。昔は兵士が戦地で傷を負ったときにプロポリス軟膏を使ったとされているほど、外傷にはプロポリスが有効でした。
混ぜ方・使い方・保存
プロポリスで軟膏を作る場合、主に、ワセリンや馬油、ハンドクリームなどのクリームに混ぜます。プロポリス軟膏の作り方は、プロポリスの原液をクリームに数滴垂らして混ぜれば完成です。プロポリスは原液を使うので、クリームは香料や着色料、防腐剤などの添加物を含んでいないものを使うことをおススメします。そうすれば安全性のより高い軟膏を作ることができます。
なお、プロポリス軟膏には抗菌殺菌作用があり防腐効果がありますが、無添加のクリームを使った場合はできるだけ早くに使い切るようにしましょう。
保存は基礎となるクリームの保存方法に準じて行います。ワセリンやハンドクリームなどは常温で保存をしても問題はありません。しかし、馬油に関しては注意が必要です。馬油は融点が30~43度と低いので、通常は固形ですが、気温が暑くなると液体かする場合があります。その場合は冷蔵保存をするようにしてください。
プロポリス軟膏の注意点
薬ではない
プロポリスは切り傷をはじめ、水虫や感染症までさまざまな症状に使えることから、薬のような感覚で使う方がいらっしゃいます。また、直接患部に塗るので、効果も比較的早く実感することができます。実際に、傷口にいる菌を殺菌して炎症を抑え、修復力を高めることで治りを早める効果があります。さらに痛みを抑えることから、無添加で安心して使えるプロポリスを薬の代わりに使う方がいらっしゃいます。しかし、症状が治まらない場合はすぐに病院へ行って医師に診てもらい、処方された薬を使用するようにしてください。外傷に対して有効ですが、プロポリス軟膏に過度に頼らないようにしましょう。
天然成分だからと安心しすぎない
プロポリスは天然成分で作られた物質ですので、皮膚が弱い子どもに対しても安心して使えます。薬だと副作用が心配になりますが、プロポリス軟膏ならその心配も必要ありません。しかし、アレルギー体質の方や妊娠・授乳中の方、一歳未満の方は注意が必要です。
湿疹や発熱などを引き起こすリスクがありますので、次の項目で詳しく説明していきます。
アレルギー体質の方はアレルギー症状が出ることがある
プロポリスは天然成分で安全性が高いですが、アレルギー体質の方、特に、花粉やハチ、ハチミツにアレルギーがある方は注意が必要です。プロポリスはミツバチが植物の樹液や樹脂、花粉を集めて作る物質です。もし、花粉やハチにアレルギー反応を示す方がプロポリスを使うと湿疹を起こしたり、肌が赤くなったりする場合があります。また、樹脂にアレルギーを持つ方も注意してください。レジンアレルギーといった方が馴染みがあるかもしれません。樹脂を使ったネイルやアクセサリーを作ったり使用したりして、かゆみや涙、咳が止まらなくなったことがある方は樹脂アレルギーの可能性があります。
もちろん、これらにアレルギー症状が出たことがない方でも、アレルギー体質の方はアレルギー症状が出やすいといえます。プロポリスを使用する場合は十分に注意するようにしてください。
なお、プロポリスにはアレルギー物質の分泌を抑えたり、免疫力を高めたりすることでアレルギー反応を出にくくする抗アレルギー作用があります。しかし、かゆみや湿疹、腫れなどのアレルギー症状が出た場合はすぐに使用を中止して、病院へ行くようにしてください。
妊娠・授乳中の使用は控えるのが無難
プロポリスを使ってみてアレルギー症状が出なければ、基本的に安心して使うことができます。プロポリスの成分は天然成分でできているので、ほとんど副作用がありません。健康食品なのでパッケージに書かれた目安の量を越えなければ健康被害が出ることはほとんどないと考えられます。しかし、妊娠をしていたり、授乳をしていたりする女性は注意が必要です。
アレルギー症状が急に出る可能性がある
妊娠・授乳中の女性の身体は普段では考えられないほどデリケートになっていますし、免疫力が落ちているので身体も弱っています。ちょっとした刺激で妊娠前や授乳するまではできていたことに対して、アレルギーを起こして身体が受け付けなくなることがあります。プロポリスの刺激は天然の抗生物質といわれるほど強力ですので、強いショックを受ける恐れがあるのです。
安全を裏付けるデータがない
また、プロポリスを口から身体に入れなくても、肌に塗ることで皮膚から身体に浸透して身体の中の胎児や母乳を飲む乳児に影響があることも考えられます。今のところ胎児や乳児に何か影響があるという明確な報告や記録があるわけではありません。ただし、母親がアレルギーがなくても子どもにアレルギーがあった場合、花粉やハチの成分が母乳を通して子どもが摂取することでアレルギー症状を起こす可能性があります。これはプロポリスに関わらずアレルギー物質すべてにいえることですが、プロポリスにはその危険性があります。
母乳を通してアレルギーを摂取してしまうという問題以外は、安全という臨床データがない以上、安心して利用することはできません。プロポリスを利用することで外傷の悪化を防ぐことができたり、痛みを抑えられたりしますが、万が一が考えられるプロポリス軟膏をあえて利用することは控えた方が良いでしょう。
一歳未満の子どもには絶対に使わない
乳幼児の皮膚はまだまだ弱く、すぐに肌荒れを起こしたり炎症を悪化させてしまったりします。そのたびに薬を塗って症状を抑えている方は、毎回薬を使うことに不安を持たれることがあります。そこで天然成分のプロポリス軟膏を使う方がいらっしゃいますが、その場合一歳未満のお子様の場合は使用を控えてください。もし、使用されている場合はすぐに使用を中止してください。
一歳未満の子どもがハチミツを口にするとボツリヌス症を引き起こすことは広く知られています。消化器官が未発達の乳児はボツリヌス菌を殺菌することができないので、腸内でボツリヌス菌の増殖を許して最悪の場合、命を落とすことがあるのです。プロポリスはハチミツと同じくミツバチが作り出す物質ですので、ボツリヌス菌が混入している可能性があります。また、口から直接摂取するわけではなく、皮膚に塗る程度なら大丈夫と勝手な判断をするのは危険です。
厚生労働省は一歳未満の乳児にミツバチが作り出す食品を与えることを禁止しています。皮膚につけるだけでも皮膚から浸透して身体の中に入ります。ほんのわずかでもボツリヌス菌が体内に入れば、腸内で増殖する危険性があります。一歳未満の子どもに対しては、プロポリスの一切の使用を控えるようにしましょう。
少しずつ使う量を増やしていく
アレルギーがない方でもプロポリスを初めて使用する場合は、少量を皮膚に塗布してバッチテストを行うようにしてください。多くの方はプロポリスを使うことで外傷の炎症を抑えて治癒を早めることができます。しかし、誰の肌にも合うわけではありません。プロポリスの使用によって皮膚がかぶれたり、蕁麻疹を引き起こしたりすることがあります。また、アレルギー症状は体調に左右される場合があります。体調が悪いと免疫力が低下しているので、アレルギー症状を引き起こすリスクが高まります。使い始めは体調の良い日にすることをおススメします。
注意して使えば外傷に極めて有効なプロポリス
プロポリスはアレルギーを引き起こしたり、強力な作用ゆえに炎症を起こしたりすることがあります。しかし、どのような注意があるのか、いつ使ってはいけないのかなど最低限使い方を注意すれば、プロポリスは子どもから大人まで、誰でも有効かつ安全に使うことができるのです。ちょっとした切り傷や不注意による火傷、夏の虫刺され、ニキビなど、さまざまなケースにプロポリス軟膏は役に立ちます。また、プロポリス軟膏を作るのもさほど難しくはありません。普段の生活の中で怪我や肌荒れは起こります。そんな外傷に安心して使えるプロポリス軟膏を常備しておいてはいかがでしょうか。