プロポリスの採集地の違いで成分や効果が変わる?
高品質のプロポリスで有名なのはブラジル産のプロポリスです。国を挙げてプロポリス生産をバックアップしているので産出量が多く、またブラジル政府公認のものなら安全性が高いので、初めてプロポリスを試してみたい方におススメなのはブラジル産です。しかし、プロポリスは産出される場所によって成分が大きく異なりますので、「何でもかんでもブラジル産が良い」とは言い切れません。プロポリスを摂る目的に応じて、違う産地のプロポリスを揃えるのが一番効果的な使い方です。この記事では特徴が大きく異なる3つの地域を取り上げて説明していきます。
プロポリスは産地によって特性が異なる
プロポリスの「巣を守る」目的は同じ
プロポリスとは一言でいうと、ミツバチの巣材です。ミツバチが植物の樹脂を採取してきてそれに自身の唾液を混ぜることで粘着性のある物質となります。植物の樹脂には抗菌作用があるので、これを蜜蝋と一緒に利用することで巣を細菌やウイルスから守ることができます。生産される地域やミツバチの種が違っても、プロポリスが作られるプロセスは同じで、ミツバチが集めてきた樹脂や花粉と蜜蝋をミックスすることで作られることには変わりません。そして、抗菌作用や温湿度を調整する作用があるので、菌が繁殖をするのを抑えられます。すべてのプロポリスは「巣を守る」という目的で同じです。
産地によって成分は全然違う
しかし、プロポリスを利用する場合、産地の違いは大きな違いになります。ミツバチが採取する植物によって樹脂に含まれている成分が違うので、効果に若干の違いが生じます。もし、プロポリスの効果に抗がん作用があるものと思って使い続けていたとしても、産地によっては効果が薄かったりします。また、殺菌力にも産地によって違いがありますので、外傷に使うならできるだけ抗菌殺菌効果が強いものを選ぶ方が、化膿などが防げて効果的です。プロポリスの特性を知ることで、目的に合った使い方をすることができるようになります。
ブラジル産プロポリスは世界最高レベルの品質と安全性
プロポリス作りに適したミツバチが生息
ブラジル産プロポリスの品質を高くしている大きな要因の1つが「アフリカナイズドミツバチ」と呼ばれるミツバチの存在です。プロポリスを採取する能力が他のミツバチと比べて群を抜いています。もともと生息していた種ではなく、養殖のために持ち込まれたアフリカミツバチが逃げ出して、ブラジルにいたセイヨウミツバチと交配してできたミツバチです。
特徴は攻撃性が高いことで、別名をキラービーといわれています。また、防衛本能が極めて高いので巣を守るためにプロポリスを早く、そして多く作り出そうとします。飛行速度はセイヨウミツバチよりも速く行動範囲も広いので、質の良い花粉や樹液をより早く集め、プロポリスをより大量に作り出すのに向いているのです。ブラジルはこのミツバチによって高品質のプロポリスを大量に生産することができます。
ランク分けで正確に品質がわかる
ブラジルのプロポリスは高品質で有名ですが、すべてがそうではありません。ブラジル産のプロポリスは品質によってランク分けされます。例えば、最低ランクのものはプロポリスを採取するときに出たカスのようなもので、いくらブラジル産プロポリスとはいってもほとんど有効成分がなく、効果も期待できないものです。中ランクは健康食品として使われるもので、主にユーカリ由来のプロポリスです。そして、最高級のプロポリスは別名「グリーンプロポリス」と呼ばれるもので、品質へのこだわりの強いメーカーが取り扱っています。アレクリンという希少性の高い植物由来のプロポリスで、桂皮酸誘導体のアルテピリンCやP-クマル酸という特有の成分を含んでいます。
ただ単に採取されたプロポリスをそのまま製品化するのではなく、品質で正確にランク分けすることでその価値を高めています。
政府公認のプロポリスなら間違いがない
プロポリスを作るのに適したミツバチがいて、品質別にランク分けしていくことでブラジル産プロポリスは世界最高水準の品質を保つことができています。しかし、プロポリスが良くても、製品化した商品が安全とは限りません。プロポリスメーカーが増えるにしたがって、製品の安全性にバラツキが生じるようになりました。そこで、ブラジル政府はプロポリスの安全性を管理するために、政府公認を証明するSIFマークを作りました。このマークは製薬会社と同レベルの厳しい基準をクリアしたメーカーにのみ与えられるマークですので、衛生面と安全面で安心できるといえます。
安心の高品質プロポリスをお探しの方はブラジル産プロポリスが最適です。
なお、外国産なので成分に不安を持つ方がいらっしゃいます。そのような方は、プロポリスメーカーのホームページを見てください。優良なメーカーなら公正な第三者機関で成分を分析して、その結果を公表しています。身体のためなので安全性だけでなく成分もしっかり知りたいという方は、SIFマークに加えて成分まで調べることをおススメします。
ヨーロッパのプロポリスはフラボノイドが豊富
ヨーロッパで採取されるプロポリスの多くはポプラが起源植物で、フラボノイドが豊富に含まれているのが特徴です。フラボノイドの作用は抗酸化作用や抗菌作用、免疫力アップなどがあり、ヨーロッパ産のプロポリスを摂取することでさまざまな効果を得ることができます。
抗酸化作用で細胞の機能を維持できる
プロポリスはアンチエイジングや老化防止ができることで有名です。老化を加速させる原因に活性酸素があり、活性酸素は紫外線やストレス、大気汚染などの影響で体内に増え、呼吸をするだけでも微量ながら常に発生しています。活性酸素が通常の量であれば外敵を攻撃して免疫力を高める効果があります。しかし、現代社会では増えすぎる傾向にあり、過剰に増えた活性酸素は正常な細胞を攻撃するようになります。これが身体の機能を低下させる原因になり、シミやシワの原因や動脈硬化の原因となります。フラボノイドは増えすぎた活性酸素を除去する作用があるので、血管や皮膚などの細胞が酸化して老化していくのを防いでくれます。
血流を改善して健康な身体へ
活性酸素の影響を受ける部分の1つに血管があります。活性酸素によって中性脂肪やコレステロールが酸化されると過酸化脂質として血管壁に付着するようになります。これが蓄積していくと血管壁が分厚くなるので柔軟性が失われて、動脈硬化になり、心筋梗塞や脳梗塞などの原因となります。血管に過酸化脂質が付着し血の流れるスペースが狭くなると、どんどん血行が悪くなります。血行の悪化は体中に血液がスムーズに行き渡らなくなるので、細胞に栄養が供給できず老廃物の回収も進まなくなります。そうして、内臓の機能や免疫力の低下、新陳代謝の悪化、冷え性など健康面にさまざまな弊害が生じます。さらに、肌や髪の毛などの美容面にも悪影響を与えます。
ヨーロッパで採取されるプロポリスはフラボノイドが豊富ですので、抗酸化作用によって血行が改善されて全身にしっかりと血液が供給されるようになります。免疫力が向上して風邪などの病気にかかりにくくなったり、新陳代謝が良くなったりすることで適切にターンオーバーがなされ、シミやシワの予防・改善ができます。頭皮の毛細血管にも血液が送られるようになると、白髪や薄毛にも良い効果があります。
菌を寄せつけない効果も高い
ヨーロッパのプロポリスは抗菌作用が強いことも特徴としてあります。菌を寄せつけない作用が強いので、古くから防腐剤として利用されていました。古代エジプトではミイラ作りにプロポリスが利用されていましたが、イタリアではヴァイオリン製造者、アントニオ・ストラディヴァリはプロポリスの高い抗菌作用に注目してプロポリスの入ったニスをヴァイオリンに塗っていました。
もちろん、抗菌作用は防腐剤としての効果だけではなく、鼻やのどなどの粘膜に塗ることで病原体を寄せつけない効果があります。プロポリスの原液を水で薄めて粘膜にスプレーすることで、風邪やインフルエンザの予防になります。
殺菌作用や鎮痛作用が強いプロポリスはオーストラリア産
オーストラリアはユーカリが多数自生していて、これがオーストラリア産プロポリスの起源植物です。ユーカリは殺菌作用や抗炎症作用、鎮痛作用などがあり、アロマセラピーとしても利用される植物です。昔から先住民のアボリジニーは傷を癒すためにユーカリを使っていたくらい、外傷を癒す効果が高いことで有名です。イギリスではユーカリ油が医薬品として認められているくらい、その効果は強力です。
このような特徴を持つユーカリ由来のオーストラリア産プロポリスは切り傷や火傷、感染症などの外傷に使うのに向いています。オーストラリアプロポリスを患部に吹きかけたり塗ることで、抗菌殺菌作用によって傷口が消毒できるのと同時に、抗炎症作用によって傷が化膿したり感染症になったりして悪化しないようにしてくれます。また、痛みを和らげる効果も強力で、医療で使われている麻酔薬よりも効果が高いといわれるくらいです。軟膏などにプロポリスを数滴混ぜて患部に塗れば、痛みを抑えながら傷の治癒が早くできます。
口内炎や虫歯などにも効果的で、口腔内の細菌を死滅させることで改善や予防することができます。何より口内炎や虫歯は痛みが気になりますが、オーストラリアプロポリスには強力な鎮痛作用があるので、痛みを抑えることもできます。口に含むとピリッとしたプロポリス特有の刺激がありますが、口の中のトラブルにも効果的です。
目的によって使い分けをするのが効果的
プロポリスには抗菌殺菌作用や抗炎症作用、抗酸化作用、鎮痛作用、自律神経調整作用などさまざまな効果がどこの地域のものにもあります。しかし、起源植物の特徴によって少しずつ成分や効果に違いがあります。プロポリスは長い間利用し続けるものですので、成分や特徴による違いは大きな差になって現われます。ただ単に品質や濃度で選ぶのではなく、産地も含めて選ぶことが重要です。地域による特徴の違いを理解しながらプロポリスを選ぶことができれば、より自分の目的を達成しやすくなります。
ちなみに、「国産」との表示があればなんとなく安心できるので、国産のプロポリスが欲しいという方がいらっしゃいます。しかし、日本ではほとんどプロポリスが作られていません。日本のミツバチは次から次に巣を変える習性があり、巣を長く使うことがないので、プロポリスで巣の守りを強化することをしません。よって、日本でプロポリスが採れても少量で、それも主に研究用として使われているので市場に出回ることはほとんどありません。プロポリスは国産にこだわることなく、産地の特徴をしっかりと把握して選ぶようにしましょう。