産地から青汁を選ぶ
何らかのこだわりを持って青汁を選ぶとすれば、青汁の原料に使われている野菜の産地に焦点をあててみるのも一案です。同じ種類の野菜でも、色々な産地のものが青汁の原料に使用されています。産地が違うと味も微妙に違いがあるといわれます。お気に入りの産地の野菜を使用した青汁をみつけてみませんか?
青汁の産地
初めて市販された青汁は、ケールが原料に使用されました。その後、明日葉、大麦若葉、桑の葉、クマザサなどを使用した青汁が次々と販売され、消費者の選択の幅が増えました。
青汁の原産地は国産と外国産に大別されます。国産といっても、さまざまな地方で青汁の原料野菜が栽培されています。野菜の種類別にそれぞれの産地をご紹介しましょう。
ケール
元祖、青汁に使用されたケールは、今でも青汁の代名詞として知られています。
ケールは緑葉甘藍(リョクヨウカンラン)、または羽衣甘藍(ハゴロモカンラン)という和名のアブラナ科の野菜です。同じアブラナ科の野菜にキャベツやブロッコリーがあります。
ケールの原産地は温暖な地中海沿岸地方で、一年を通して栽培されます。野菜の王様と呼ばれる程、豊富な栄養を含むケールが日本に入ってきたのは意外に古く、江戸時代だといわれています。
ケールはカーリーケール、コラードケール、レッドケール、カーボロネロなどの複数の種類があります。国内ではほとんどが青汁の原料として利用されますが、海外ではほうれん草などと同様、炒め物やサラダなどに幅広く使用されています。
ケールは三重県、和歌山県、茨城県、島根県、岡山県、福岡県、大分県、鹿児島県、宮崎県、長野県、愛知県、静岡県など、日本各地で栽培されています。温暖な地域では一年を通して栽培されます。夏場は北海道でも栽培されます。
晩秋から冬にかけて収穫されたケールには甘味があります。夏に収穫されるケールは甘味が少ないですが、含まれる栄養素の量は冬のものより若干増える傾向にあります。
大麦若葉
大麦若葉とはイネ科の植物で、大麦が稲穂を実らせる前の若葉のことです。原産地は中央アジアです。草丈が20~30cmの大麦若葉には豊富な栄養成分が含まれていますが、繊維質が多く生食には向かず、青汁の原料として使用されます。 乾燥した気候が大麦若葉の栽培に適しています。
大麦はヨーロッパやロシアをはじめ、世界中で栽培されています。国内では栃木県、茨城県、佐賀県、福岡県、熊本県、大分県、島根県、福井県などで栽培されています。しかし国内の生産量は減少傾向にあり、近年、外国産に頼る割合が多くなってきています。青汁の原料に使用される海外産の大麦若葉は中国、ニュージーランド、アメリカ、カナダなどから輸入されています。
大麦若葉はケールや明日葉に比べ味に癖がなく、どなたでも飲みやすく継続しやすいため、近年、青汁の原料として人気が高まっています。
明日葉
明日葉は日本原産のセリ科の植物で、房総半島、三浦半島、伊豆諸島の八丈島や大島、三宅島、紀伊半島などの比較的暖かい太平洋沿岸部に自生しています。またそれらの地域で栽培され出荷されています。古くから食用や薬草として重宝されてきました。
生命力が非常に強く、今日摘んでも明日になると新しい葉が出るという意味で明日葉と命名されたといわれています。
風味はケール同様、緑黄色野菜独特の匂いがあり、好き嫌いが分かれる野菜です。
2月中旬から5月にかけてが明日葉の旬です。
桑の葉
日本、中国など、亜熱帯地域が原産の桑はクワ科に属する植物の総称です。英語名はマルベリーで、小さな黒い果実が実り、海外ではジャムなどにして利用されています。桑の葉はやや楕円形で、葉の縁がギザギザしている特徴があります。桑の葉は蚕の餌として古くから利用されてきたこともあり、日本人にはなじみの深い植物です。
桑の産地は山梨県、福島県、島根県、滋賀県、徳島県、熊本県、鹿児島県などで、地域により品種が異なります。桑の葉は外国産として中国からも輸入され、青汁の原料に使用されています。
桑の葉は青汁の原料のほかにも乾燥させお茶として飲まれています。また、天ぷらなどの食用にも利用されています。
桑の葉はケールや明日葉のような独特の苦みはありませんが、桑特有の香りがあり、好みが分かれます。
クマザサ
クマザサはイネ科の植物で、多くの種類が確認されています。日本が原産地で、北は北海道から南は九州まで、全国の山深くに広く自生しています。主な産地は北海道、島根県、鳥取県、山口県、徳島県、長野県などですが、青汁の原料には北海道産のクマザサの人気が高いようです。
クマザサは繊維質が多く、食用には向きませんが抗菌、防腐作用があり、古くから笹餅やちまきなどを包む葉として利用されてきました。
クマザサは味や匂いに癖が少なく、ケールなどの野菜とブレンドすることで青汁の味がマイルドになり、飲みやすく好評です。
長命草
長命草はセリ科の多年草の植物です。沖縄諸島、予那国島、九州の温暖な地域の海岸沿いに自生しています。強い日差しと潮風を受けて育つ長命草は生命力が強い植物です。原産地の沖縄では、古くから天ぷらなどの料理やお茶にして利用されてきました。
長命草の青汁は、長命草だけを原料に使用したものと、大麦若葉など、他の野菜とブレンドしたものが販売されています。長命草は癖が少なく、飲みやすい味です。
国産か外国産かの選択について
青汁はメーカーにより、産地の違う野菜が原料に使用され商品化されています。野菜は国産信仰が根強い傾向にありますが、外国産でも日本のメーカーが現地で栽培から収穫、加工までを全面的に管理しているところもあります。このようなメーカーの青汁であれば、原料が外国産だからといって敬遠する理由にはならないでしょう。外国産は生産コストを低く抑えることができるメリットがあり、それを価格に反影させ、安く販売することができます。これは購入する側にとっても大きなメリットです。
国産野菜を使用した青汁は産地の違いというより、有機栽培された野菜を使用しているかどうかで価格差が出る傾向にあります。特に有機栽培にこだわらなければ、国産の野菜を使った青汁でも、お手軽な価格で販売されているものが多数あります。
さまざまな要素を考慮して青汁選びに役立てましょう。