イソフラボンとの相乗効果が期待できるビタミンK2とは
大豆の胚芽に集中して含まれる微量成分のイソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンに似た構造を持つことから弱い女性ホルモン様作用を示し、女性の健康や美容に役立つとして人気を集めています。
エストロゲンには骨の代謝を助けて強化する働きもあり、イソフラボンは特に閉経前後の女性の摂取が推奨されている成分の一つです。
それ以外にも、骨へのカルシウム沈着を助けるうえ、骨からのカルシウム溶出を抑える働きを持つ成分にはビタミンK2があります。
骨の質を高め、骨粗しょう症を予防するには、イソフラボンとビタミンK2を合わせるのが非常に効果的です。
この記事では、イソフラボンと一緒に摂りたいビタミンK2についてご紹介します。
イソフラボンと一緒に摂りたいビタミンK2とは?
ビタミンK2は、血液凝固に必須の成分として発見された、脂溶性のビタミンKのうちの一つです。
そもそもビタミンKは自然界に存在し、主に植物の葉緑体で合成されるビタミンK1(フィロキノン)と、微生物によって作られるビタミンK2(メナキノン-n)の2種類に大別されます。
ビタミンK1は濃い緑色の葉野菜や大豆加工食品などに多く含まれ、ビタミンK2は納豆をはじめとする発酵食品や肉類・卵、乳製品など動物性食品にも含まれる成分です。
いずれも体内では似たような働きをするのが特徴で、人体内では腸内細菌によって身体が必要とする半量ほどが合成されます。
また、ビタミンK1は1種類であるのに対し、ビタミンK2には構造は少しずつ異なるものの化学的性質が似ている同族体が11種存在します。
代表的なビタミンK2には、動物性食品に含まれるメナキノン-4と、納豆に豊富なメナキノン-7が挙げられます。
一般にビタミンKを指す場合は、フィロキノン・メナキノン-4・メナキノン-7の総称がほとんどとなっています。
ビタミンK2の持つ働きや効果について
ビタミンKの基本的な働きは血液凝固に関わるもので、普段は血液循環を保つために血液を固まりにくくする成分の合成に作用します。
その一方で、出血時にはプロトロンビンなどの血液凝固因子が肝臓で生成される際、補酵素として働きます。
そのためビタミンKが不足すると血中のプロトロンビン濃度が低下して、出血があった場合に止まりにくくなるのです。
また、ビタミンKは骨の健康の維持にも不可欠な成分で、腸で吸収されたカルシウムが骨に沈着するのを助ける働きがあります。
骨に存在するタンパク質「オステオカルシン」を活性化し、骨にカルシウムを沈着させてその形成を促すと共に、骨からのカルシウム溶出を抑える作用を発揮します。
そのため、骨粗しょう症の治療薬としてビタミンK2であるメナキノン-4が45mg/日で処方されています。
そのほか、動脈の石灰化を抑え、動脈硬化や心疾患を防ぐタンパク質(マトリックスGlaタンパク)を活性化する働きもあります。
なおビタミンK2活性のプロセスは、
1:摂取後に肝臓に取り込まれ、正常な血液凝固を促す
2:血中を移動しながらマトリックスGlaタンパクを活性化し、動脈へのカルシウム沈着を防ぐ
3:骨髄でオステオカルシンを活性化して骨の形成を促す
という順序で作用します。
ビタミンK2の骨に対する作用
ビタミンK2は前述のような過程を経て、骨のカルシウムとタンパク質の結合を促し、骨の形成を助けるために作用します。
骨粗しょう症を患った人とそうでない人を比べると、血中のビタミンK1濃度には目立った差はなく、ビタミンK2の血中濃度は高くなっていることから、骨の健康を保つにはビタミンK2の摂取が重要といえます。
身体が必要とするビタミンK2の半分程度は腸内細菌によって産生されているものの、骨折予防を目的とするには、ビタミンK2の含有量が抜群の納豆を摂るのが推奨されています。
イソフラボンの骨に対する作用
骨は骨細胞(こつさいぼう)・骨芽細胞(こつがさいぼう)・破骨細胞(はこつさいぼう)の3種の細胞の働きで形成されます。
破骨細胞が古い骨を壊し、骨芽細胞が新しい骨を作ることで代謝をくり返していますが、加齢に伴い骨を壊す速さが作る速さを上回り、骨密度が減少してしまいます。
特に閉経前後にエストロゲン分泌が急激に下がる女性は、エストロゲン不足に陥ることで骨の代謝が崩れて骨量も急激に低下してしまうのです。
エストロゲンに構造が似ているイソフラボンは、エストロゲンが不足した場合にその受容体に結合して、エストロゲン様作用を示します。
そして骨芽細胞の働きを促し、破骨細胞の働きを抑える作用を発揮して、骨の健康維持に大きく役立っているのです。
まとめ
イソフラボンとビタミンK2は、いずれも骨量の減少を防ぎ、骨の健康を維持する働きを持つ重要な成分です。
骨の健康のためにはカルシウムだけ補えば安心、と思われがちですが、さらにイソフラボンとビタミンK2を一緒に摂ることで骨を丈夫にする相乗効果が期待できます。
女性は更年期を迎えた以降もエストロゲンが不足した状態は続くため、骨量の維持や骨粗しょう症予防のために意識的に補うことをおすすめします。