イソフラボンの持つ作用による耳鳴りの改善効果
女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをするイソフラボンは、自律神経のバランスが崩れて交感神経が過度に優位になることでも起こる、耳鳴りの改善に効果が期待できます。
さまざまな原因が考えられる耳鳴りは、エストロゲンの急激な減少も影響していると考えられており、特に更年期世代の女性に多く見られる症状の一つでもあります。
自律神経やホルモンのバランスを整える働きにすぐれたイソフラボンの活用は、それらのバランスが乱れることで起こる耳鳴りに効果的なのです。
この記事では、イソフラボンの働きによる耳鳴りの予防や改善の効果についてご紹介します。
耳鳴りとは?
耳鳴りとは、実際には外界に音がしないのに、耳のなかで不快な音が聞こえたり感じたりする症状です。
「キーン」という金属音のような高音から「ブーン」という低音、時計の秒針や心拍のように一定のリズムを刻むような音、セミが鳴くような音までさまざまな症状があります。
耳鳴りが生じるのは外耳から中耳・内耳、聴神経や脳までの、音が伝わる経路のどこかで異常が現れるためで、その多くは空気振動を電気信号に換える働きを持つ内耳の蝸牛の異常で発症すると考えられています。
また、耳鳴りは聴力が低下する難聴などに伴って現れる場合が多いほか、ストレスや身体の慢性的な痛み、女性ホルモンのバランスの乱れや薬の副作用などが原因となる場合もあります。
耳鳴りの分類について
かつて耳鳴りは、自分だけにしか聞こえない『自覚的耳鳴(じめい)』と、医師が聴診器などを患者の耳にあてることで他人にも聞こえる『他覚的耳鳴』との2つに分けられていました。
現在では『拍動性耳鳴り』と『非拍動性耳鳴り』との、2つの分類が用いられる場合が多くなっています。
拍動性耳鳴りは、他覚的耳鳴に分類される症状でもあり、内耳や脳の血管になんらかの異常がある場合に起こりやすい症状です。
その名のとおり、同じような音が心拍のように一定のリズムをくり返して打つタイプの耳鳴りが起こります。
具体的には、「ドクンドクン」「トックントックン」「ザーザー」など、血液が流れるような音と例えられたり、鼓膜を内側から叩かれるように感じたりする場合があります。
片耳にだけ症状が現れる場合もあれば、両耳に感じる場合もあり、音の聞こえや程度には個人差があるだけでなく、頭痛やふらつき・めまいなどの症状を伴うこともあります。
一方の非拍動性耳鳴りとは、規則性のないリズムや音がする症状を指し、その多くが難聴に伴って現れる場合が多く見られます。
拍動性耳鳴りのように一定のリズムを伴う音が感じられないタイプの症状が非拍動性耳鳴り、と覚えておくと判断しやすいでしょう。
耳鳴りの原因とは?
耳鳴りの原因には、片頭痛や不整脈、高血圧や貧血などの症状に伴う以外に、主に抗血小板薬や不整脈に対する薬の副作用などが挙げられます。
また、加齢やストレスが主な原因となる難聴に伴って耳鳴りが起こる場合も多く、人の声や時計の針が動く音などが聞こえにくくなったりすることもあります。
さらに不規則な生活や睡眠不足、環境の変化など複合的な要因が重なり、自律神経のバランスが崩れることで発症する自律神経失調症も耳鳴りの大きな原因と考えられています。
自律神経がアンバランスになると、身体や脳の緊張を招く交感神経が優位になるため、血行不良となって耳鳴りにつながってしまうのです。
また、自律神経失調症になると免疫力の低下も招くので、内耳や中耳が細菌に感染し炎症が起こる影響で耳鳴りになる場合もあります。
女性の耳鳴りとホルモンバランスの乱れの関係性
女性の体内では、脳の視床下部からの指令によって、卵巣からエストロゲンとプロゲステロンの2つの女性ホルモンが分泌されています。
しかし、加齢とともに卵巣の働きが衰える更年期を迎えると、性成熟期と同じ量のエストロゲンを分泌することができなくなります。
視床下部はこの状態を、エストロゲンが十分に分泌されていないと勘違いし、通常の何倍ものGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)を放出して卵巣にホルモン分泌を催促しますが、機能が低下した卵巣にはそれに応えることができないのです。
このように両者のやり取りが食い違うことでホルモンバランスが乱れ、更年期特有の不快な症状の一つとして耳鳴りが起こる場合もあります。
また、エストロゲンの分泌量が急激に減少する影響が自律神経に及び、そのバランスが崩れることも、更年期に耳鳴りが起こりやすい原因と考えられています。
イソフラボンの持つ働きによる耳鳴りの予防・改善の効果
エストロゲンは血管拡張作用を備えており、エストロゲン様作用を持つイソフラボンには同様の働きが認められています。
エストロゲンの代わりとなって働くイソフラボンは、末梢血管の血液循環を促し、血行不良が招く耳鳴りの改善に役立っているのです。
また、エストロゲン受容体に結合することで、エストロゲン不足の状態が招く視床下部の混乱を鎮め、自律神経のバランスを正常な状態に戻す効果を発揮します。
イソフラボンの働きによって自律神経が整えられると、脳や身体の緊張がゆるんで血流障害が改善に向かい、耳の機能が徐々に回復して耳鳴りの緩和や予防につながるのです。