ソイプロテインとイソフラボンとの違いとは?
大豆の胚芽に特に多く含まれる成分のイソフラボンには、働きや効果の違いが曖昧なため比較の対象になる成分があります。
そのうちの一つが、一般に粉末のサプリメントとして知られている「ソイプロテイン」です。
いずれも大豆に由来する成分ですが、一方はその微量成分でもう一方は栄養素という違いがまず存在します。
この記事では、イソフラボンとソイプロテインとの違いについてご紹介します。
ソイプロテインを含むプロテインとは
そもそもプロテインとはタンパク質の英語名で、ギリシャ語で「一番大切なもの」を意味する「プロティオス」が語源とされています。
タンパク質は多数のアミノ酸が結合した化合物で、脂質や糖質と共に三大栄養素とも呼ばれており、人体のエネルギー源としても作用します。
人体を構成している骨や血液、筋肉の材料に利用されるほか、皮膚や爪、髪などの組織を作るために不可欠な栄養素です。
一般に日本語でプロテインというと、タンパク質を主成分とする粉末のサプリメントを指す場合が多くあります。
また、筋肉を増大させたりするのがプロテイン摂取の目的と誤解される場合も少なくありません。
タンパク質は筋肉だけでなく血管や臓器、皮膚や髪など、人体の基礎づくりに重要な栄養素のため、不足しないように摂取する必要があるのです。
プロテインには種類がある
前述のように、プロテインとはタンパク質のことで、動物性プロテインと植物性プロテインの2種類に大別されます。
いずれもタンパク質には違いないものの、原材料や体内を巡る速さなど多様な違いがあるので、用途や目的に合った使い分けができるのがメリットといえます。
タンパク質は肉類や魚介類、卵や大豆製品などの食品から摂取できますが、その分脂質の摂取量も増える食材もあります。
製品としてのプロテインは、高タンパク低脂質食を支えるための利用にも推奨されています。
ソイプロテインとは
ソイプロテインとは、その名の通り大豆に含まれるタンパク質です。
大豆タンパクは、人体内では合成できない必須アミノ酸のすべてを供給する「完全タンパク」のため、大豆は畑の肉とも呼ばれています。
また、大豆を原料に粉末加工したソイプロテインは、時間をかけてゆっくり吸収されるのが特徴です。
タンパク質の含有量の比率を上げ、脂質や糖質、水分量を下げて植物性タンパク質を効率よく摂取できます。
消化吸収がおだやかなため満腹感が持続しやすかったり、タンパク質から分解されたアミノ酸を長時間にわたって血中に供給できたりするなどのメリットがあります。
ソイプロテインに期待できる効果とは
ソイプロテインには、主に4つの効果が期待できます。
1つは、血中のコレステロールや中性脂肪値を低下させる働きで、さまざまな疾患を招く原因となる動脈硬化の予防に有効とされる点です。
コレステロールは細胞膜やホルモンの材料に利用されるなど、人体に欠かせない成分ですが、血管内に過剰に蓄積すると血中濃度が上がり、動脈硬化の発症リスクを高める原因となってしまいます。
ソイプロテインを摂取すると、脂質の代謝を促す胆汁酸にコレステロールより先に結びつき体外への排出を促すのです。
2つめは、ダイエット目的に有効という点です。
消化吸収がゆるやかなソイプロテインには、腹持ちがよいという特徴があるため、満腹感が続き食欲を抑える効果も期待できます。
そのためソイプロテインでタンパク質を補いつつ、筋肉の維持や脂肪の増加の抑制など、ダイエット目的での利用にも効果的です。
食事制限に重点を置いたダイエットを行うと、タンパク質の摂取が不足しがちになり、筋肉量が減って基礎代謝量の低下につながります。
生命維持のための最小エネルギーである基礎代謝量が最も多いのは、全体の約40%を担う筋肉で、筋肉量が多ければ基礎代謝も上がり、ダイエットの効果を得やすくなるともいえます。
3つめは、大豆に含まれるイソフラボンの抗酸化作用により、活性酸素の過剰な発生を抑えて細胞の酸化を防ぎ、肌や髪などの老化を抑える効果も期待できます。
4つめは、同じくイソフラボンの持つ女性ホルモン様作用で、卵巣の働きが衰えエストロゲンの分泌量が急激に低下して起こる、更年期特有の症状の緩和に効果が期待できます。
ただし、ソイプロテインの摂取はエストロゲン不足による影響を抑える可能性があるとの見解に留まるため、必ずしも有効とはいえないことを覚えておく必要があります。
イソフラボンとソイプロテインの違いについて
ソイプロテインにもイソフラボンが含まれているため、上記のような抗酸化作用や女性ホルモン様作用による効果も期待できます。
とはいえ、ソイプロテインは大豆タンパクそのものであり、イソフラボンは大豆の胚芽に集中して含まれる微量成分という大きな違いがあります。
数多くの脂肪燃焼効果が報告されている大豆タンパクは、一般人のダイエット目的に活用されるほか、ウエイトコントロールが必要なプロフェッショナルにも適した成分です。
また、エストロゲンに似た構造を持つイソフラボンには、エストロゲンの過不足を調整する特性があるため、女性特有の不調を緩和するなどの働きに優れています。
それぞれの持つ作用や期待できる効果を比較し、ご自身の目的に合った成分の活用をおすすめします。