イソフラボンとレッドクローバーとの飲み合わせ
フラボノイドの一種であるイソフラボンには、大豆に胚芽に含まれる大豆イソフラボンをはじめ数多くの種類があります。
大豆イソフラボンは女性ホルモンのエストロゲンに似た作用を示すので、女性の健康や美容に有益な効果をもたらすとして知られています。
同じような作用や効果を持つ植物には、ヨーロッパ原産のハーブの一つであるレッドクローバーも挙げられます。
この記事では、大豆イソフラボンとレッドクローバーの飲み合わせについてご紹介します。
レッドクローバーとは?
レッドクローバーとは、ヨーロッパやアジア原産のマメ科の植物で、和名ではアカツメクサやムラサキツメクサとも呼ばれています。
古来ヨーロッパではハーブの一種として扱われ、日本では明治初期に牧草として輸入された後に野生化した経緯があります。
イソフラボンを含むレッドクローバーは植物性エストロゲンの一つでもあり、エストロゲンによく似た働きをするだけでなく、その分泌の調整作用を持つのが特徴です。
レッドクローバーの性質について
レッドクローバーのエキスに含まれる『バイオカニンA』『フォルモノネチン』といったイソフラボンは、糖が分離した状態のアグリコン型のため、腸内細菌による代謝工程を経る必要がありません。
腸内細菌の存在や活動量にかかわらず速やかに吸収されるので、大豆など一般的なマメ科の植物にも含まれるダイゼインやゲニステインなどより吸収率が高いのが特徴です。
また、レッドクローバーのイソフラボン含有量は、大豆に含まれるダイゼインなどに比べ10~20倍高いことが明らかになっています。
効率よく吸収できるなどの高い性能が評価されたレッドクローバーは、アメリカ食品医薬品認可局(FDA)によってGRAS(Generally Recognized As Safe;一般に安全と認識されている物質)に認定される実績を持つ植物です。
レッドクローバーの主な働きや効果とは?
レッドクローバーはフォルモノネチンなどのイソフラボンを含むため、エストロゲン様作用を発揮して女性特有の症状の予防や緩和、骨密度の維持などの効果が期待できます。
更年期特有の症状の緩和
女性の身体は加齢とともに卵巣の働きが衰え、閉経前後の5年間である更年期を迎えると、エストロゲンの分泌量の急激な減少が引き金となり、特有の不快な症状が現れます。
具体的には上半身のほてりや突然の発汗、頭痛や肩こりなど身体的な症状に加え、イライラと落ち込みを交互にくり返すなど情緒が不安定になる症状も見られます。
エストロゲンの分泌量は加齢の影響だけでなく、過度のストレスや睡眠不足、無理なダイエットや極端な偏食なども原因となって減少してしまいます。
その結果、若年層でも更年期のような症状が現れたり、生理不順やPMS(月経前症候群)を招いたりするのです。
更年期などエストロゲンの不足が招く女性特有の症状には、レッドクローバーに含まれるイソフラボンが女性ホルモン様作用を発揮することで、緩和や改善効果が期待できるのです。
骨密度の維持
レッドクローバーには、骨からのカルシウム溶出を防ぐイソフラボンの働きにより、骨密度を維持する効果が期待できます。
エストロゲンはカルシウムの吸収に携わり、骨にカルシウムを蓄えておく作用も持ち合わせています。
カルシウムは骨や歯の構成成分となるほか、血液の凝固や筋肉の収縮、正常な神経伝達の維持など、人体の機能に不可欠な役割を果たしています。
そのため、血中のカルシウム濃度は一定に保たれていますが、エストロゲンが不足するとカルシウムの吸収率も低下してしまうのです。
特に更年期にエストロゲンの分泌量が急激に減ると、血中のカルシウム濃度が低下するため、副甲状腺ホルモンが分泌されて骨からカルシウムを溶かし、一定の血中濃度を保とうとします。
すると骨密度が低下して骨がもろくなり、骨折のリスクが高まる骨粗鬆症を招く原因となるため、更年期以降の女性は注意が必要です。
また、若年性更年期障害と同じように、不規則な生活や食生活の乱れなどが原因でエストロゲンが不足すると、年齢にかかわらず骨粗鬆症になる可能性もあります。
レッドクローバーのイソフラボンがエストロゲン様作用を発揮してカルシウム吸収を促すことで、骨密度を保ち骨粗鬆症を防ぐ効果が期待できるのです。
大豆イソフラボンとレッドクローバーの飲み合わせの注意点とは
レッドクローバーに含まれるバイオカニンAなどのイソフラボンは『選択型エストロゲン調整物質』と呼ばれ、不足したエストロゲンを補うだけでなく、分泌が過剰になれば抑制する作用も備えています。
しかし、大豆イソフラボンに比べて強いエストロゲン様作用を示すので、ホルモンバランスが崩れやすい妊娠・授乳中の女性は摂取を避けることと、婦人科系疾患の治療でホルモン剤や抗がん剤を使用している場合には医師への相談が推奨されています。
一方、大豆イソフラボンにもエストロゲンの過不足を調整する働きが備わっているため、ホルモンバランスに作用する成分の併用は避けるのが無難といえるでしょう。