イソフラボンの持つ働きによる体臭改善の効果
人体は加齢に伴い、活性酸素に対抗する抗酸化力が衰えたり、女性ホルモンのエストロゲンの減少によりその働きが低下したりすることで、加齢臭が発生しやすくなります。
抗酸化作用を持つフラボノイドの一つであるイソフラボンは、エストロゲンと同様の働きも備えた成分のため、加齢臭の原因物質の発生を抑える効果により、その改善が期待できるのです。
この記事では、イソフラボンの持つ働きによる加齢臭の改善効果についてご紹介します。
加齢臭の発生原因とは？
40代以降の中年世代に発生しやすいとされる加齢臭は、男性だけでなく更年期を迎えた女性にも起こる独特の体臭です。
その原因となるのは『ノネナール』という物質で、20～30代の体内にはほとんど存在せず、40代を過ぎると次第に増加する特徴があります。
ノネナールは中年世代に特有の体臭の成分として、大手化粧品会社の研究により解明されるとともに、加齢臭という言葉も誕生しました。
加齢臭の原因物質であるノネナールは、身体の脂肪組織に含まれ、特に肝臓に多く存在する『9-ヘキサデセン酸』という不飽和脂肪酸が、皮膚の常在菌により酸化分解される過程に発生します。
常温でも液状を保つ柔軟性の高い不飽和脂肪酸は、血中の中性脂肪値を減らし血液循環をよくするなど、人体に有益な働きをします。
9-ヘキサデセン酸自体は無臭であるものの、不飽和脂肪酸は酸化しやすいデメリットがあるので、酸素と反応してノネナールを発生させてしまうのです。
なお、ノネナールはビールなどにもごくわずかに含まれている成分で、ごく少量ではよい香りを発します。
そのため、悪臭の原因物質として知られる一方で芳香剤にも利用されるインドールなどと同様に、わずかな量ではよい香りとなるものの、過剰に増えることで悪臭に変わってしまうのです。
加齢臭が発生し始める年齢とは？
加齢臭は、発生したノネナールがその人の持つ体臭と混じり合い、油っぽく不快な臭いを発し、チーズやロウソク、古雑誌や押し入れの臭いなどと表現される独特なものです。
上記のように、ノネナールの増加で悪化する加齢臭は、多くの場合40代を過ぎると発生し始めるとされているものの、体質や生活習慣、性別によっても発生する時期には個人差があります。
男性の場合、40代を境に9-ヘキサデセン酸の分泌量と、年齢を重ねた影響で体内の活性酸素の発生量が増えることが、加齢臭の発生率を引き上げるとされています。
また、年代の傾向として仕事で忙しく睡眠不足になりがちで、食生活の乱れや運動不足などが影響して肥満になりやすい場合が多いことも、加齢臭の悪化に拍車をかけているのです。
女性の場合、エストロゲンが加齢臭に大きな影響を及ぼしており、性成熟期にはその作用で皮脂分泌が抑えられるため、男性に比べ加齢臭は発生しにくいと考えられています。
しかし、エストロゲンの分泌量が急激に減少する更年期を迎えると、皮脂分泌が増えるためにノネナールが発生しやすくなるため、加齢臭の発生を招いてしまうのです。
また、若年層でも生理周期の女性ホルモンの分泌量の変動により、一過性の体臭の変化も起こる可能性があるほか、生理不順などが慢性化しているとホルモン分泌が不安定になりやすいため、加齢臭のような体臭が発生する場合もあります。
年齢を重ねると加齢臭が発生する原因とは？
加齢臭の原因物質であるノネナールは、条件や要素がそろった場合に発生する性質があり、前述した9-ヘキサデセン酸のほか、活性酸素や過酸化脂質などが関わっています。
まず、ノネナールが発生する決定的な要因は、加齢に伴う老化です。
老化の原因となる活性酸素は、呼吸で取り込まれた酸素の一部が変性したもので、体内に侵入した病原菌から生体を守るなどの役割がある一方、過剰に発生すると正常な生体成分や細胞を攻撃して損傷させてしまいます。
若いうちは身体の新陳代謝と抗酸化力が活発なので、酸化の影響を受けても新しい細胞が次々と生み出されるものの、年齢を重ねると代謝力が衰え老化が進んでいくのです。
老化を助長する活性酸素は、ノネナールの発生原因の一つともなる過酸化脂質を合成します。
過酸化脂質とは、体内の中性脂肪やコレステロールなどの脂質が活性酸素と酸化結合してつくられる、人体に有害な物質です。
動脈硬化やガンの発症リスクを高めたりする過酸化脂質は、細胞内で新たに活性酸素を発生させ、自らを増殖させる性質があります。
過酸化脂質がノネナールをつくり出すわけではなく、9-ヘキサデセン酸が酸化分解されるのを促す働きがあるので、過酸化脂質が増殖するとノネナールの発生も増えてしまい、加齢臭を悪化させるのです。
イソフラボンの働きによる加齢臭の改善効果
フラボノイドの一種であるイソフラボンには、活性酸素の過度の発生を抑える抗酸化作用とエストロゲン様作用によって加齢臭の改善が期待できます。
活性酸素によって過酸化脂質がつくられるとノネナールの発生を助長するため、イソフラボンを摂ることで老化による体内の抗酸化力の低下を防ぐ効果が期待できるのです。
また、エストロゲン様作用により、皮脂の過剰な分泌を抑える働きも発揮することで、ノネナールを生み出す過酸化脂質の増殖を抑え、加齢臭の対策に役立っているのです。
