イソフラボンによる不眠の予防・改善の効果

睡眠は心身を回復させるだけでなく、それ自体がストレス解消に有効なため、深い眠りは健康を維持するうえで非常に重要です。
イソフラボンにはホルモンバランスを整えたり、自律神経を正常に機能させたりする働きがあり、これらのバランスの崩れが引き金となる不眠の改善に効果的といえます。
この記事では、イソフラボンの持つ働きによる不眠の予防や改善効果についてご紹介します。

不眠とは？

不眠とは自律神経の乱れが原因となって現れる典型的な症状で、自律神経失調症の初期に現れやすい症状の一つでもあります。
自律神経とは、人体の生命維持のために無意識のうちに心身の機能を調節する神経で、交感神経と副交感神経の2つがバランスをとりつつ、相反する働きをそれぞれ行っています。
自律神経が正常に機能しているなら、身体の活動時や日中には交感神経が優位になって心身が活発になります。
一方、休息時や夜の睡眠時には副交感神経が優位になり、心身がリラックスして疲労の回復が優先されます。
しかし自律神経が乱れると、本来なら副交感神経が優位になって熟睡するべき夜間に、交感神経が高ぶった状態のままで副交感神経に切り替わらず、眠れなくなってしまうのです。

不眠の具体的な症状とは？

睡眠障害の一つである不眠には4種類の症状があります。
・入眠障害･･･寝つきが悪くなかなか眠りにつけない
・中途覚醒･･･眠っても途中で何度も目が覚める
・早朝覚醒･･･夜明け前に目が覚めてしまう
・熟眠感欠如･･･熟睡できずに疲れが残ってしまう
以上が不眠の代表的な症状で、いずれも自律神経のバランスの崩れとかかわっていると考えられています。
自律神経がアンバランスになり副交感神経の働きが弱まると、寝つきの悪さや何度も目が覚める症状が起こりやすくなり、体力の回復が不十分なまま疲れが蓄積されていきます。
そもそも深く眠るには副交感神経の働きが不可欠なので、副交感神経が優位になるための体調管理や生活習慣の見直しなどが必要となるのです。

不眠に陥る主な原因とは？

自律神経のバランスが崩れると不眠になる大きな原因には、交感神経の高ぶりが挙げられます。
人体は交感神経の興奮状態が静まり、副交感神経が優位になることで眠れるようにつくられているため、自律神経の乱れが不眠を招く大きな原因といえます。
自律神経が正常に機能しないと、両者がスムーズに切り替わらないため、交感神経が高ぶって緊張したままでは副交感神経の働きが弱まり、眠りにつくことが難しくなるのです。
また、人が眠りにつくときには、脳内の神経伝達物質の『メラトニン』が分泌されることで眠気を催します。
昼間に日光を浴びている状態ではメラトニンの分泌は抑えられ、日が暮れて暗くなるにつれ分泌量が増えていき、睡眠に向かわせる催眠作用があるので、不眠の原因にはメラトニンの分泌不足も関係していると考えられています。
朝日に反応して消滅する性質のあるメラトニンは、副交感神経が優位の場合にのみ分泌されるため、自律神経が乱れて副交感神経の働きが弱くなると、夜になっても分泌量が増えずに不眠を招いてしまうのです。

不眠とホルモンバランスの乱れの関係性

不眠の原因には、上記のほかにホルモンバランスの乱れも挙げられます。
特にホルモンバランスの変動を定期的に経験する女性は、生理前や妊娠中、更年期などに眠気を催す場合が多くあるため、女性ホルモンは睡眠と密接にかかわっているといえます。
不眠など睡眠の状態に大きく影響を及ぼす交感神経と副交感神経は、脳の視床下部によって制御されています。
視床下部は自律神経の調整を行うと同時に、性ホルモンや副腎皮質ホルモンなどの分泌もコントロールしており、両者はともに視床下部の支配下にあるため影響しあう関係性なのです。
卵巣機能の衰えによってエストロゲンの分泌量が減少すると、ホルモンバランスが乱れる影響が自律神経にも及んでアンバランスになり、不眠を招いてしまうのです。

イソフラボンの働きによる不眠の改善効果とは？

エストロゲンなどの分泌を行う内分泌系と自律神経の働きはそれぞれ密接にかかわっており、いずれかの正常な機能が乱れると、もう一方の働きの乱れも引き起こします。
また、催眠作用のあるメラトニンの分泌量を増やすには、その原料となる『セロトニン』を増やす必要があります。
自律神経系の支配下にあるセロトニン神経系が分泌するセロトニンは、エストロゲンの分泌量の変化の影響を受けていることになります。
エストロゲンの分泌量が減少すると自律神経がバランスを崩し、その影響でセロトニン神経系の乱れを招き、セロトニン不足に陥りやすくなってメラトニンの分泌量の低下を招くことになるのです。
イソフラボンはエストロゲンによく似た構造を持つ成分のため、エストロゲン様作用を発揮します。
エストロゲンの過不足を調整する働きを持つイソフラボンは、エストロゲン受容体に結合してホルモンバランスを整える効果が期待できます。
すると自律神経のバランスも整えられ、セロトニン神経系の正常な機能が保たれることになり、不眠の予防や改善につながるのです。