男性に特化したイソフラボンの摂取による効能
女性ホルモン様作用を示すイソフラボンは、女性の健康に対する効果に特化した成分と見られる傾向にあります。
実際には、その働きにより男性の健康にも有益な効果を発揮するため、活用してほしい成分の一つでもあるのです。
この記事では、男性に特化したイソフラボンの摂取による効能についてご紹介します。
前立腺肥大と男性ホルモンとの関係性
男性の体内に多い男性ホルモンには、筋肉の増強や内臓脂肪の代謝に作用したり、血液をつくったり性的欲求を起こしたりする働きが備わっています。
しかし、男性ホルモンが酵素の働きによって活性化することで不都合が生じる場合があり、その一つが以下で紹介する前立腺肥大症です。
前立腺肥大症とは?
前立腺とは、膀胱の下に位置する男性だけが持つ生殖器で、精液の一部をつくるなどの働きがあります。
クルミ大ほどの大きさで、主な働きは精液の構成成分となる前立腺液の分泌したり、精子に栄養を与えてその活動力を高めたりするほか、射精の際の収縮や尿の排泄などの役割を担っています。
前立腺の発達や働きは、男性ホルモンの『ジヒドロテストステロン(DHT)』に大きく影響を受けており、加齢とともに前立腺が大きくなってしまうのが前立腺肥大症です。
前立腺肥大症では、肥大した前立腺によって尿道や膀胱が圧迫され、頻尿など排尿困難などさまざまな排尿障害が現れ、50代以降の男性には珍しくない良性の疾患とされています。
しかし、放置しておくと膀胱や腎臓に悪影響を及ぼす可能性もあるため、決して軽視できない症状といえます。
前立腺肥大症の原因とは?
前立腺肥大症になる原因は、まだ十分に明らかにされていないのが現状です。
とはいえ、加齢とともに男性ホルモンの分泌量が減少し、女性ホルモンとのバランスが崩れることが原因の一つと考えられています。
男性ホルモンはコレステロールを原料に、男性の体内では精巣や副腎でつくられ、女性の体内でも少量ながら卵巣で生成されています。
男性ホルモンの総称はアンドロゲンと呼ばれ、プログネノロン・プロゲステロン・テストステロンと変化してつくられます。
そのうちのテストステロンと、テストステロンが『5αリダクターゼ』という酵素と結合して活性化されたDHTは、男性の生殖機能の発達を促し、その機能を正常に維持するために欠かせない存在です。
とはいえ、中高年期に入り肥大し始めた前立腺にはDHTの作用が強すぎるため、さらに肥大を助長したり硬化させてしまったりするのが問題なのです。
男性型脱毛症と男性ホルモンとの関係性
男性ホルモンのテストステロンが活性化したDHTが関わる症状には、AGA(男性型脱毛症)もよく知られています。
AGAは日本人の場合、20代後半~30代にかけて発症する傾向があり、それ以降は徐々に進行していくとされています。
その原因となるのが、男性ホルモンのDHTであるため、AGAは『男性型』と特記されますが、女性にも発症する場合もあります。
男性型脱毛症が起きる原因とは?
代表的な男性ホルモンであるテストステロンは、脱け毛に影響すると考えられていますが、実はそれ自体が脱け毛の原因となるわけではありません。
毛髪だけでなく、すべての毛の根元には『毛乳頭細胞』が存在し、発毛や育毛に関わる役割を果たしています。
ヒゲや毛髪など、アンドロゲンの影響を受ける体毛の毛乳頭細胞の中には、アンドロゲンの働きを受け取る受容体と、5αリダクターゼが存在します。
アンドロゲンが毛乳頭細胞内に入ると5αリダクターゼと結びつき、テストステロンがより強い活性力を持つDHTに変換されたのちにアンドロゲン受容体に結合すると、体毛の成長を司る遺伝子に指令が出されるのです。
この指令により、毛髪以外の体毛では、その細胞に対する成長因子が誘導され、太く丈夫に成長します。
しかし、頭部の毛髪では細胞の分裂や成長を抑える抑制因子が誘導され、髪が成長するための期間が短く不十分となり、結果的に細く弱々しくなってしまうのです。
DHTはテストステロンを補う働きがあるものの、毛乳頭細胞内にあるアンドロゲン受容体に結合すると、髪の毛の生育を阻害し発毛周期を乱してしまうことでAGAが発症するのです。
DHTは、ホルモン受容体と結びつく力がテストステロンの10倍にもなる強力な男性ホルモンのため、脱け毛や薄毛を防ぐにはDHTの働きを抑えることが重要となります。
イソフラボンによる男性ホルモン抑制効果とは
DHTが影響して起こる上記のような症状の改善や予防には、体内のエストロゲンの分泌量を促し、ホルモンバランスを整えることが重要といえます。
エストロゲンが減少すると、男性ホルモンとの分泌量のバランスが崩れ、男性的な作用ばかりが亢進してしまうのです。
イソフラボンには、テストステロンを活性する5α-リダクターゼの働きを阻害し、その亢進を抑える働きがあります。
また、イソフラボンの一つのダイゼインが代謝されてできたエクオールが、DHTがアンドロゲン受容体への結合を妨げ、その機能を抑える作用を発揮します。
イソフラボンやその代謝物の働きによって、DHTの作用による前立腺肥大やAGAの発症や進行を抑える効果が期待できるのです。