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イソフラボンの副作用で子宮内膜症になる?

大豆の胚芽に集中して含まれるイソフラボンは、構造が女性ホルモンに似ているため、エストロゲン受容体に結合することでエストロゲン様作用を発揮する成分です。
その働きによって骨粗鬆症を防いだり、更年期特有の症状をやわらげたりする効果が期待できる一方、サプリメントなどの過剰摂取で副作用が現れる場合もあります。
植物性由来の成分であるイソフラボンは、高い安全性に定評があることで知られているものの、利用の仕方には注意する必要があるのです。
この記事では、イソフラボンと子宮内膜症との関係性についてご紹介します。

子宮内膜症とは?

子宮内膜症とは、子宮の内側を覆う粘膜である子宮内膜が、子宮以外の場所に発生して増殖と剥離をくり返す症状です。
発生しやすいのは卵巣や卵管、骨盤腹膜や子宮と直腸間のくぼみ(ダグラス窩)などが挙げられ、肺や胸膜にも現れる場合もあります。
子宮内膜は生理のときに経血として体外に排出される性質があり、子宮以外の場所で増殖した組織も生理時に脱落するものの、お腹の中にとどまり炎症を起こして卵管など周囲の組織に癒着するといったトラブルを招くのです。
すると、生理時に強い痛みを招くほか、特に卵巣に発症するとチョコレート色の古い血液がたまる『チョコレートのう胞』と呼ばれる袋状の症状が見られます。
チョコレートのう胞では、卵管などに癒着して痛みや不妊の原因となるほか、発症率0.7%程度でガン化する可能性があるため、定期的な検査をおすすめします。

子宮内膜症の症状とは

子宮内膜症の主な症状には、強い生理痛が挙げられます。
子宮以外の場所で増殖した子宮内膜が生理時に脱落してお腹の中にたまり、炎症や癒着を起こすのがその原因と考えられています。
あるときを境に生理痛が強まり、その痛みがだんだん激しくなる場合がある一方、発症するまでまったく自覚症状のない場合もあるため注意が必要です。
それ以外には吐き気や下痢、不正出血や過多月経、下腹部の痛みや腰痛、排尿痛や性交痛といった症状が現れる場合があるほか、不妊の原因になる可能性もあります。
なお、発症する人が増加傾向にある大きな原因は、初潮の低年齢化や出産しないことを選択する人が増えたことで、一生の間に経験する月経回数が多くなったことにあります。
初潮の早かった女性や、生理周期が短かったり生理期間が長かったりする人では月経回数が増えるため、子宮内膜症の発症リスクが高まると考えられています。
近頃では20~30代の女性に増加していることもあり、きちんとした健康管理が必要となるのです。

イソフラボンと子宮内膜症の関係性とは

イソフラボンの副作用で子宮内膜症を招く可能性があるといわれているものの、両者にはどのような関係性があるのでしょうか。
大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンに構造が似ている成分のため、生理痛の緩和など女性特有の症状に有効として利用されています。
イソフラボンはエストロゲンが不足している場合はその代わりとして作用し、逆に十分に分泌されている場合にはその亢進を抑えるといった、エストロゲンの過不足のバランスをとる特性を備えています。
そのため、女性ホルモンのバランスを整えるためにも作用すると考えられ、イソフラボンの摂取が適量であれば子宮内膜症を予防する効果が期待できるといえます。
しかし、適量であれば問題ないものの、過剰に摂取すると逆にイソフラボンによって発症リスクが高まるともいわれているのです。

イソフラボンと子宮内膜について

イタリアのペルージャ大学における、閉経後の女性179人を対象に大豆イソフラボン錠剤を5年間にわたり150mg/日の摂取をつづけてもらった試験の結果では、「子宮内膜の増殖」が6例あったと報告されています。
そのため内閣府の食品安全委員会では、この試験における150mg/日を参考に、その1/2の75mg/日を、食品を含むイソフラボンの安全な摂取上限値の根拠の一つとしています。

日本人のイソフラボン摂取量とは?

日本人の実際のイソフラボンの摂取量はどの程度なのかといえば、2002(平成14)年の国民栄養調査によると、平均的な摂取量は厚生労働省の発表では16~22mg/日、農林水産省では18mg/日となっています。
また、食品安全委員会の『大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A』によると、日本人全体の85%が食事による摂取量は45mg/日以内にとどまっています。
同委員会が定めた食品からのイソフラボン摂取を含めた上限値である、70~75mg/日に達していないのが日本人の現状で、過剰摂取よりもむしろ摂取不足に陥っているといえるのです。
その反面、近頃では豆乳の人気など、イソフラボンの作用や効果が注目されていますが、それに伴ってサプリメントなどを利用する場合に、効果を求めるあまり過剰摂取になる傾向も少なからず見られます。
成分が凝縮されたサプリメントなどを規定量を超えて長期的に摂取しつづけると、子宮内膜症を招きやすい状況を作っているといえるため、副作用を防ぐためにも、適量の摂取を心がけるのがおすすめです。

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