イソフラボンの持つ抗酸化作用とは
大豆や葛などマメ科の植物に多く含まれているイソフラボンは、抗酸化作用を持つフラボノイドの一つです。
フラボノイドは、植物が紫外線による活性酸素の影響から自身を守るために作り出している物質で、人体に摂り込んでもその効果が発揮されることが分かっています。
そのため、イソフラボンを摂取すると活性酸素の過剰な発生を抑える効果が期待できるのです。
この記事では、イソフラボンの持つ抗酸化作用についてご紹介します。
イソフラボンと活性酸素について
女性ホルモンのエストロゲンに似た構造を持つイソフラボンには、体内でその受容体に結びつくことでエストロゲン様作用を示すほか、老化やさまざまな疾患を招く原因ともなる活性酸素を消去する働きが備わっています。
ここでは、活性酸素とはどんな働きを持つのかなどについてご紹介します。
活性酸素とは
人は呼吸によって酸素を取り入れ、生命活動や維持に必要な機能に利用しています。
人体の生命維持に欠かせない酸素の一部は、不安定な性質を持ち、ほかの物質と反応しやすい活性酸素に変化します。
人体の細胞やほかの成分などを酸化させる力が非常に強い活性酸素は、もともと細菌やウイルスなどの病原菌から身体を守る役割を担っている物質です。
しかし必要以上に発生すると、正常な細胞や遺伝物質まで攻撃してしまうため、老化の助長や動脈硬化、ガンなど多くの疾患を招く原因となるのです。
そのため生体には、活性酸素の害を防御する働きをする抗酸化成分や抗酸化酵素など備わっています。
活性酸素による酸化ストレスと抗酸化作用のバランスを維持することが、人体の健康を守る重要なポイントなのです。
活性酸素の発生原因は?
活性酸素は代謝などの生体活動の際や加齢に伴って自然に発生するほか、ある条件を満たすと過剰に発生すると考えられています。
偏食や不規則な生活、喫煙や飲酒などの生活習慣をはじめ、電子機器から発生する電磁波にさらされることや食品添加物の摂取、化学薬品の利用などが活性酸素の大量発生の主な原因に挙げられます。
また、精神的なものも含め上記のような原因を媒体にした、外部からの過度のストレスも重大な原因です。
体内で活性酸素が過剰になれば、体内に備わっている抗酸化力では対処しきれなく、さらに食生活や生活リズムの乱れなどによって抗酸化の機能が損なわれることにもなるのです。
活性酸素が及ぼす影響とは
前述のように活性酸素は、本来は病原菌から身体を守る免疫をはじめ、代謝の調節や細胞内での情報伝達、排卵・受精や細胞の分化といった重要な生理機能に関わる物質です。
一方で活性酸素は、ほかの生体成分と結びつきやすいため、体内のタンパク質と反応して変性させたり、酵素の活性を損なわせたりします。
また、細胞膜の脂質を酸化させて過酸化脂質を作り出したり、遺伝物質と反応すると突然変異を生じさせたりなどの害を及ぼします。
その結果、肌のシミ・シワをはじめとする老化現象やアトピー性皮膚炎、動脈硬化や心筋梗塞、糖尿病やガンなど多くの疾患の原因となるのです。
イソフラボンの持つ抗酸化作用とは
活性酸素は体内で過剰に発生すると、上記のような悪影響を人体に及ぼすため、イソフラボンなど抗酸化作用を持つ成分を摂取して抗酸化力を高める必要があります。
吸収率が高いのはアグリコン型
イソフラボンは多くの場合、糖と結びついた状態の配糖体(グリコシド型イソフラボン)として存在しており、体内に入ると腸内細菌の働きによって糖が分離された「アグリコン型」に変換されて吸収されます。
分子が小さく吸収力にすぐれたアグリコン型は、グリコシド型の約3倍の吸収率を持つといわれており、味噌などの大豆発酵食品に含まれています。
納豆や豆腐などの大豆食品にもイソフラボンは含まれていますが、それらの食品に含まれるのはグリコシド型のため、摂取した分の約80%は吸収されず体外に排出されてしまうのです。
とはいえ、アグリコン型のイソフラボンを食品だけで摂取しようとするのは現実的ではないので、サプリメントなど規定量を守って補うのは効率的といえます。
アグリコン型イソフラボンの上限値とは
アグリコン型イソフラボンの摂取上限値は、成人の場合70~75mg/日とされています。
食事から摂取する量としては40~45mg/日が理想で、サプリメントなどを利用している場合には30mgの付加量となっています。
イソフラボンがエストロゲンに似た作用を持つことから、エストロゲン受容体を介して機能することを考慮に入れると、乳幼児や小児など生殖機能が未発達な状態で大豆イソフラボンを普段の食生活に上乗せして摂取することは推奨できない、とされているためです。
イソフラボンの過剰摂取による症状には、
・閉経前の女性の場合:ホルモンバランスの崩れ、血中ホルモン値の変動や月経周期の遅れ
・閉経前後の女性に共通:子宮内膜増殖症などの発症リスクの上昇
・妊娠中の動物の場合:胎児の生殖機能への影響が見られた
などの報告がなされています。
イソフラボンの抗酸化作用を活用するには、上限値を超えない摂取を心がけるのをおすすめします。